ムルマンスク便りVol.13


◇ちぇぶさん(第2期生)の留学体験記


 前回からはじまりました、ペンネーム・ちぇぶさんの海外生活を綴った留学体験エッセイ「オーロラの見える町から」昨年晩秋から今年夏にかけてムルマンスク経済法科大学に語学留学されていたときのドタバタ生活を楽しく紹介して戴いてます。

 結構ボリュームがあり、ユーモアタップリの連続体験記です。これが本当にあった話だから、おもしろい。情景を思い出しついニンマリしてしまいます。

 今度は第5話目。カメラを修理してもらうのに難儀したお話を書いてくれています。みなさんも彼女の体験記を読んで、ムルマンスクがどういう町なのか妄想想像してみてください。(本人の了承を得ています。)


毎年1月下旬に市中心に行われる「氷像展」のエントリー作品。日本からうんと離れたここムルマンスクで、日本文化をこのように表現しています。うまいこと作っていますね。


第5話 『カメラを買いに・・・』

 あれは、正月を過ぎてしばらくした頃のこと。その日、私らはオーロラを見に行こうと友人宅で待機していた。何か、記念写真を撮ろうということになり、私はカメラを出してきた。構えてパチリ。ん?シャッターが下りない。もう一度押してみるが、シャッターはウンともスンともいわない。以前やはり海外でこういうことがあったな。あのときは電池切れだった。ということは、今回も・・・。そういうわけで新しい電池を入れてみる。が、カッチャンカッチャンカッチャンという、なにか空回りしているような音が四、五回したあと静かになり、やはりシャッターは下りない。

こ、これはっ!カ、カメラが壊れた〜!!

 すわっ、お家の一大事!なんたってカメラには私が見てきた貴重なフィルムが入ったまま。(未使用の部分もたくさんある)下手に動かしてこのフィルムをダメにしたくない。それにカメラは、私がこうして文章に書き表せない場面を確実に再現してくれる私の目だからだ。つまりは大事な相棒なんだ。

 どうしようか何日か考え、買い換えるということは予想外の出費なので、とりあえず修理に出してみようと思った。まずは片っ端からお店やさん覗き。カメラがどこで売っているのかよく覚えていなかったので、カメラを扱っている店や探しだ。そこ、ここというふうにお店やさんを覗いてまわる。ムルマンスクのお店はひとつのフロアに何軒かかたまってある場合がほとんどで、文房具やさんあり、毛糸やさんあり、食器やさんあり、といった具合だ。お肉やさんや魚屋さんがある場合もある。

あった、あった。カメラやさん。

カメラとフィルム、カメラ用の電池がある。現像や焼き増しも受け付けてくれる。だが並べてあるカメラを見ると、私の使用しているペンタックスが置いてない。同じペンタックスを置いてあるカメラやさんなら、修理できるんじゃないかと私は考えたのだ。というわけで、他のカメラやへ行く。そして、とあるカメラやさんにはペンタックスが置いてあった。さっそく壊れたカメラを出して、メモッ、メモッ!(とっさにしゃべれないと困ると思い、話したい内容をあらかじめメモしておいたのだ)カメラを直して欲しい旨、伝える。親切なカメラやさんで、あれこれ様子を見たあと、こう言った。

「んー、ここではちょっと直せないな。○○通りに同じようにフォトショップがあるからそこへ行ってごらん。」
「○○通り? あ、もしかして図書館のところの?」
「そうそう、そこの隣だよ。」
そう言って、彼はメモにさらさらとその住所を書いてくれた。

 後日、学校が終わったあと、メモを頼りにそこへ行ってみた。やはりお店やさんのたくさんある中にそのカメラやさんはあった。大きさこそ小さいけれど、この写真やさんは繁盛している。次から次へと現像を頼む客、写真を引き取りにくる客がやってくる。あまりに頻繁にお客さんがくるので、ちょと気おされてしまったが、客が引いた一瞬を狙ってお店の人に話しかける。

「あのー・・・、カメラを直して欲しいんですけど。」

 お店の人は親切だった。電池を入れなおしたりして、(あ、このときはすでにフィルムは回収してある)様子をみてくれた。しかし、やはり原因がよく分からないらしい。たぶんあそこが悪いんじゃないかな〜という気持ちを言外に含みながら、
「ごめんね、ここじゃこれ直せないわ。ここからだとちょっと遠いけど、××通りにあるカメラやへ持っていってみて。バスに乗っていくのよ。」


 さて、どうしようか。またもや違う店を紹介されてしまった。

 実は私は、カメラやさん探しでさんざん歩き回っていたので、カメラを直してもらうということにとても疲れてしまっていた。それに、もしかしたら、直すのにかなりの日数がかかるかもしれない。すると、当然その間写真は撮れない。そろそろ、氷の彫像展も始まる、という頃だったので、この毎年行われている氷の彫像展の写真はぜひ撮っておきたい。そのため、ついに私は決心した。よしっ!カメラを買おう!!

 さて、どんなのを買おうか。

 オーロラは撮ってみたいので、バルブという機能がついたのがいい。それに、レンズは28mm〜というのが私のこだわり。それ以外は扱いやすければ、まあ、どれでもいいんだけど。いつもはファミリーコンパクトカメラ派の私だが、いっそのこと一眼レフを買ってしまおうか。でも、使いこなすのに時間がかかりそうだし。でも、オーロラ撮るなら一眼レフのほうがいいよね。などなど、コンパクトカメラにしようか一眼レフにしようかでさんざん迷った。かなり迷った。しかし、やはり一眼レフは荷物になる、という点でコンパクトカメラを購入することに決定!  学校帰りのある日、Sさんに付いてきてもらって、とあるカメラやさんに入る。
 そしてカメラを買ったらその足で、氷の彫像展を見に行こうということになった。実はこの店、何日か前にもSさんと一緒に下見していた。お目当てのカメラを見せてもらう。

「う〜ん、これでいいよな。う〜ん。よしっ、決めた!これ下さい。」

 お店の人が箱を出してくる。ついでに取り扱い説明書も。

 ・・・あれ。あの取り扱い説明書、コピーだな。

 Sさんはこのときちょっといやな予感がしたらしいんだけど、私ときたら新しいカメラが手に入ることがうれしくっておかまいなし。今までのカメラの電池では今度のカメラには合わないので、電池も新しく購入。お金払って、ロシアでカメラを買ったという記念に、カメラやのお姉さんを撮らせてもらおうと思い、カメラを向ける。いいよ、と言ってくれていざシャッターを押そうとするが、

シャッターが下りない???

 電池も今入れ替えたばかりだし、フィルも新しいやつだ。いったいどうしたんだ?お店の人にも見てもらう。二人がかりで見てもらったが、分からない。で、同じカメラの在庫はないという。それじゃあ、しょうがない。壊れたカメラなんか欲しくないもん。お金を返してもらって、店を後にした。思えば、試し撮りしてみようと思って、良かった。おかげで故障しているのがわかったんだもん。Sさんはコピーの説明書見たときからなんか怪しいと思ってたそうだ。ほんと、良かった。だってもしかしたら、故障したままのを売りつけられてしまったかもしれないもの。でも、たぶん、あのカメラ、またウインドウに飾られているんだろうなあ・・・、そんな気がする。

 その日、氷の彫像展には行かず、もう一軒のカメラやへ行くことにした。でも、お店へ行って、さんざん目当てのカメラを見せてもらったけど、決心がつかなくなり、結局その日は購入しなかった。

 次の日、学校が終わったあと、昨日行った二軒目のカメラやへまた行った。こんどこそ、一大決心をして、カメラを買うことを決めたのだ!私の姿を見るなり、カメラやのお兄さんは「これでしょ!」と、昨日見ていたカメラを出してくれた。(しっかり覚えられてる〜)うん、これ買おう。壊れてしまったカメラよりはひと昔前のデザインだけど、同じペンタックスだから扱い慣れてるし。奇しくもその日は私の誕生日。なんとまあ、自分の誕生日にロシアでカメラを買うことになろうとは。この間のことがあるから、一応買ってすぐにカメラやさんのお兄さんを撮らせてもらった。カシャ。今度はいいシャッター音がした。よし、これから氷の彫像展へ行こう。さっそく写真を撮るのだ。それにしても、カメラひとつ買うにしてもロシアでの買い物は気を付けなければいけないということを体験した。

 このカメラはすっかり馴染み、今ではうちの記念スナップを撮るに至っている。

【編集局より】
 氷像展のお話どころではない一大事だったようなので補足しておきます。(^^; このアリョーシャでも「街の風景」の中のヴァローフスカヤ通り(本当は「〜カヴァ」です)コーナーで、このイベントは紹介されています。太陽の日(1月25日)に近い毎年1月下旬に、アルクチカホテル傍で行われる、ムルマンスク版雪まつりです。ホテルの近くのヴァローフスカヴァ通りには製作参加チームによる大きな氷像が何体も飾られ、優勝を競います。ムルマンスク経済法科大学で初の日本人留学生受け入れとなった2004年の時には、タイトルは忘れましたが、髷を結い和服を着て胡坐をかいている男性像と、その傍らで着物を着てお盆でお酒を運ぶ女性像が飾られました。鎌倉〜江戸時代のお茶の間の風景のようでした。残念ながら優勝にはなりませんでしたが、ムルマンスクの人々に日本を意識してもらえた嬉しい出来事だったと思います。




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