ムルマンスク便りVol.14


◇ちぇぶさん(第2期生)の留学体験記


 前回からはじまりました、ペンネーム・ちぇぶさんの海外生活を綴った留学体験エッセイ「オーロラの見える町から」昨年晩秋から今年夏にかけてムルマンスク経済法科大学に語学留学されていたときのドタバタ生活を楽しく紹介して戴いてます。

 結構ボリュームがあり、ユーモアタップリの連続体験記です。これが本当にあった話だから、おもしろい。情景を思い出しついニンマリしてしまいます。

 今度は第6話目。映画館に通い詰めだったころのお話を書いてくれています。みなさんも彼女の体験記を読んで、ムルマンスクがどういう町なのか妄想想像してみてください。(本人の了承を得ています。)


日本映画祭が毎年開催されるロージナ映画館。


第6話 『映画を見よう』

 ムルマンスクには映画館が三つある。ひとつはツェントルにある「ロージナ」、もうひとつは町の名をとった「ムルマンスク」、もうひとつは「アトランチカ」である。「ロージナ」は年に一回、日本映画際が行われる。町の中心部にある。逆に「アトランチカ」はちょっと町外れにある。この映画館は車で移動する時、車窓越しに見たことがある。私は専ら「ムルマンスク映画館」へ行った。ここは住んでいたところからいちばん近かったからだ。

 ムルマンスク映画館の前は、ちょっと広い空き地になっていて、映画館に向かって左手の隅の方にキオスクが一軒。右手には近日公開予定の映画の看板。この空き地は土曜日などには映画を見に来た人たちの車がいっぱい停まっている。私はここも舗道だと思っていたが、そんなのお構いなしに車がガシガシ入ってくるのには閉口した。そして、階段を上ると、重厚なドア。ドアの横には、これまた公開中もしくは近日公開予定の映画のポスター。いくつかある二重ドアをあけると、左手にカフェ。右手にカッサ(つまり切符売り場)。クレジットカードの現金引きおろし機が1台ある。カッサの窓口には公開している映画の上映時間と料金表。カッサのさらに右手には近日公開予定の映画の案内やら、「ロージナ」「アトランチカ」の日程表が掲示してある。これらを確認するためだろうか、常に人が出たり入ったりしている。とにかく、人の出入りは多いのである。

 さてさて、それではカッサにある料金表を確認してみよう。とある映画の場合。朝・10時の回:50P、昼・13時の回:60P、夜:18時の回:100Pと、こんな具合に朝一番がいちばん安く、だんだん値が上がっていくのである。これはどの映画でも同じ。朝の回の方が断然お得。もっとも人気の度合いによって、同じ朝一番でも40Pだったり、50Pだったりする。そして、不思議なことに、映画の公開日数がとても短いのである。だいたい一週間くらい。どんな人気作品でも、そのくらい。日本では、大人気作品は一ヶ月くらいやっているのが普通である。でも、ここは違う。この週末は用事があるから来週末に見に行こう、なんていっていると上映が終わってしまうのだ。もっとも、「ムルマンスク」→「ロージナ」→「アトランチカ」と周っているので、「ムルマンスク」で見過ごしたとしても、うまくすると「ロージナ」で見られるかもしれない。しかも、料金が下がっていたりする!!でも、やっぱり家から一番近いので、私は専らムルマンスク映画館へ行った。そして、行く時は学校のない日の朝一番を狙って行った。

 カッサで切符を買ったら二階へ。席は指定制。切符の表面には、映画のタイトル・日付・開始時間・料金などが印字されている。階段に沿って、近日公開予定のポスターが並んでいる。切符がなくてもこれを見ることはできる。

 二階に上るとカフェとなぜか巨大な鳥篭

 天井までとどく大きな鳥篭の中で、インコがたくさん飼われている。それと、水槽が二つ。名前はわからないが結構大きな魚が、これまた飼われているのである。これらのインコや魚たちは待っている間、手持ち無沙汰にならないようにという為なのだろうか。そして、片隅などには人気公開映画の等身大人形などが飾られていたりする。ようするにここは、小さなロビーになっているのだ。カフェがあるので、ここで飲み物やポップコーンを買うことはできるが、日本みたいに公開中の映画のグッズが売っている、なんてことはない。グッズの売店はないのである。もちろん、パンフレットもチラシもどこにもない(それともグッズの売店があるのはワーナーマイカルだけかしら)

 開場のアナウンスがあり、切符を切ってもらって中へ入る。入る前に左手をちらりと覗くと、そこが映写室だ。番号表示にしたがって席を探す。真ん中辺りの席は指定席だ。しかし、人が座っているのを見たことがないぞ!場内は広い。客席側に丸く迫り出した舞台になっている。ここでは映画以外にコンサートなども開かれるそうだ。それで舞台になっているのだ。たしか、キラキラひかるミラーボールもあったような気がする・・・。ロシア特有の最終的にはディスコになるのかしらん。

 ところで、ここで日本の映画館との決定的な違いがある。なんと場内には暖房が効いていないのだ。つまり、寒い。コートは着たままで見るのだ。(ま、暑けりゃ脱いでもいいけど)座席はけっこうゆったりめ。前の席との間が広いのもうれしい。クッションもまあまあ。背もたれがちょっと薄いような気がするけど。前の席との段差があるせいか、これなら前に大きな人がきても、なんとか見えるゾ。そして、予告編が始まって、本編が始まって。ロシアの人もそんなに映画マナーは悪くなかったと思う。それというのも、いやな思いをした印象がないからだ。そして、映画が終わって、またまたびっくり。私は本編が終わっても、エンディングをしっかり見て、場内が明るくなってから席を立つのだが、なんと、エンディングの途中で既に明るくなり、皆さっさと席を立って帰るではないか!

 えええええーーーーーーー!!!エンディング見ないの〜?

 ずっと残っていたかったけど、放映のほうもさっさと終了。しかたないので、出口へ。ドアを抜けると、雪がまぶしい。そこはもう外だった。あれ、私、どうやって外に出たの?一瞬、キツネにつままれたような気になるが、よく考えてみるとわかる。階段上って中へ入って、実際にはひな壇になっているところで見て、ステージの方へ降りてドアを出ているのだ。上った分降りているのだから、外(つまり地上)と同じ高さになっているのだ。これも、日本では映画会場を出ても館内の中、という感覚からすると、とても奇妙に感じられた。でもおもしろい。出口が外なのだから、コートを着たままでいい筈だ。そして観客は見終わった余韻を持ちながら、家路につくことが出来る。こういうのもいいもんだ。

 そうやって、何回か映画を見た。ロシア語を聞き取れないと内容が分からず、つまらないと思い、なるべく知っているストーリーのものを見たりした。ロシア語吹き替えだが、時々、歌の場面だけ英語に戻っていたりする。声優さんの声がせんせん違っていたりするから、ちょっと違和感もあるけど、ロシア語を必死に聞き取ろうとする勉強にはなったはずだ。機会があればもっともっと、いろんな映画を見てみたかった。

 日本よりもだんぜんお得で見られるのがいいネ。願わくは、2週間くらい公開しているといいんだけどな。映画館に入って映画を見るということは、なんだかいっぱしにそこの住民になれたような気がして、ちょっとうれしかった。

【編集局より】
 もうすぐそのロージナ映画館で『第3回 日本映画祭』が開催されます。今回はどんな作品がチョイスされているのでしょうか。アリョーシャのインフォメーションで近々告知します。乞うご期待!




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