ムルマンスク便りVol.16


◇ちぇぶさん(第2期生)の留学体験記


 前回からはじまりました、ペンネーム・ちぇぶさんの海外生活を綴った留学体験エッセイ「オーロラの見える町から」昨年晩秋から今年夏にかけてムルマンスク経済法科大学に語学留学されていたときのドタバタ生活を楽しく紹介して戴いてます。

 結構ボリュームがあり、ユーモアタップリの連続体験記です。これが本当にあった話だから、おもしろい。情景を思い出しついニンマリしてしまいます。

 今度は第7話目。物欲みなぎるちぇぶさんは、今回の買い物でお気に入りの帽子をGETしたようです。みなさんも彼女の体験記を読んで、ムルマンスクがどういう町なのか妄想想像してみてください。(本人の了承を得ています。)



第7話 『うにべるま〜ぐの帽子屋さん』
*「うにべるま〜ぐ」とは日本でいう百貨店のことです。

 帽子が好きだ。これは以前から。自称・帽子屋の娘と言っていたときもある。その頃は今ほど冬にニット帽を被る人もいなかった。だから帽子を被っていることが、なんとなくおしゃれに感じたのだ。それに、帽子は暖かい。暖かくておしゃれな帽子は私にとって、特に冬にはなくてはならないものになっていた。

 防寒の意味もあるのだろうが、ロシア人は男の人も女の人も大人も子どももほとんどの人が冬、帽子を被っている。ロシア人の帽子というと、あの毛のモコモコしたやつを思い浮かべる人も多いと思うが、それ以外にも色々なデザインがある。耳あてのついているやつ。ベレー帽タイプ。男性にはハンチングタイプのものもお薦めだ。共通しているのはどれもとても厚手で暖かいということ。私がいた年はニットの帽子とマフラーのお揃いのものが流行っていた。
 ニット帽とマフラーなら私も日本から持参していたが、ニットの厚さが違う!だんぜん厚いのだ。それなら、ひとつ現地のものを買ってみようと思った。
 やはり、帽子とマフラーとセットのがいい。マフラーは長めの丈がいい。コートが黒だから、なにか明るい色がいい。でも白は汚れやすそうだし。水色は似合わなそうだし。やっぱ、赤がいいな。真っ白い雪ばかりだから、赤なら遭難した時に目立つだろうと思った。(実際に町中で遭難するなんてことはないんだけど)

 何軒かのお店を見て回って、そうしていちばん気に入ったものを買う、これがいつもの私の買い物の仕方。ただ、ロシアでこれをやっていると買えない時がある。なぜなら、それしかない、という一点ものの時がままあるからだ。だからロシアで欲しい物があったら、即買ったほうがいいと聞いたことがある。だがそれにもかかわらず、たくさん店を見て回った。やはり買い物をする時は慎重に選びたいのだ。そして、私はデパートにも行った。あまり明るくない店内。受付の案内嬢もいない。店員が制服を着ているわけでもない。入り口に店内案内の看板の類はない。たぶんモスクワのデパートだったら、ヨーロッパ風の、今の日本のデパートに近い様子をしているのだろう。しかし、ここムルマンスクのデパートの様子は日本のデパートとはなんか違う。これがロシアのデパートかしら。でも、品揃えは豊富。若干他より高いものもある。ま、覗いてみるだけ覗いてみよう、そう思ったのだ。

 このデパートは何階に何売り場があって、という風でなく、専門店がたくさん入っているつくりになっている。お客さんはけっこういる。市場と違って、他の買い物客や店員さんの視線がいたい。「あ、外国人がいる」視線がそういっている。何人の人が日本人と気付いてくれているか。やはり中国人と思われているのだろうか。品物を見ながら、ついそんなことを考えてしまう。三階に帽子をたくさんおいてある店があった。外からぱっと見たところデザインもたくさんある。よし、中へ入ってみよう。

 「なにか取りますか」

 壁に飾られている帽子を見ていると、ハスキーな声が聞こえてきた。

 「いいえ、見ているだけです」

 そう答える。すると、「あら、あなたは外国人じゃないの」そういう視線が飛んできた。やはりね〜。声をかけてきた店員さんが、私のほうを見ている。視線が合った。こういう時はにっこり笑顔。彼女は私に興味をもったらしい。

 「どこからきたの?」と聞いてきた。
 「日本」
 「あら〜、まあ、日本から。旅行なの?」
 「ううん、ここでロシア語ならっています。だから、少しだけロシア語わかります」
 「まあ、ロシア語うまいじゃない!」
 「いえ、それ程でも。ほんとにちょっとしか分かりません」
 「これだけ会話できれば充分よ」

 といったことを話した。自分でも驚くことだが、ちゃんと会話できているじゃん!うれしいね。
 そして、さらにうれしいことに、この店には考えていたような赤いニットの帽子とマフラーのセットがあったのだ。

 「あの、この帽子のセット、ちょっと試してもいいですか?」
 「いいわよ。鏡はあそこ」

 試させてもらう。うん、あたたかいや。これ、いいなあ。でも、ちょっと待て。ちょっと高いなあ。それにもしかしたら、他の店にもっと気に入るようなのがあるかもしれない。そう考えたので、いったん戻す。

 「どう?」
 「う〜ん、ちょっと考えておく。ありがとう」

 そう言って、店を出る。そしてその足で他の小売店をうろうろ。やっぱり、あれ買おう。だっていちばん気に入ったもの。

 お店に戻る。また来たか、って顔はされなかったと思う。今度はしっかりさっきの帽子セットを指差して、

 「これ、ください!」

 ムルマンスクへ来てからのいちばんの高い買い物。しっかり選んだだけあって、このセットはとても気に入った。たしかに日本のものより厚いニットだ。防寒にはぴったりだ。でも、この帽子とマフラーが暖かいのはなにも毛糸が厚いばかりじゃないはずだ。
 この帽子屋さんはすっかり気に入って、その後も何度となく足を運んだ。ただし、残念なことに、あれ以来気に入る帽子にはめぐり合っていない。よって、店には行っても、買わずに帰ってきていた。

 そうして、私は日本に戻った。先月、約半年ぶりにムルマンスクへ行った時、この帽子屋さんにも行ってみた。あの店員さんはいた。そして、私のことを覚えてくれていて、声をかけてきてくれた。

 「ずいぶん久しぶりね。国に帰ってたの?」

 ハスキーな優しい声は相変わらずだった。

【編集局より】
 アリョーシャ内のコンテンツ「オーロラを観よう」の中の「持物と服装」ページに写真がありますが向かって右側がちぇぶさんです。着用しているのは、今回の体験記で紹介したお気に入りのニット帽&マフラーでしょうか。彼女は後ほどこのほかにも、千鳥格子が可愛らしいベレー帽を購入しました。自称帽子屋の娘さんは、いったいいくつお持ちなのでしょうね。(^^;




HOME | はじめに | ムル観光 | オーロラを観よう! | 地図と交通 | ロシア留学・日本語学校 | ムルマンスク便り
ムル&コラみやげ | リンク | ミニロシア語 | BBS | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載依頼


100%留学リンク集 NPO神奈川県日本ユーラシア協会 NPO日ロ交流協会 ロシア物産onlineショップ「うにべるま〜ぐ」 ムルマンスク旅行代理店「セレブロフパノイ」留学生.net ロシアンぴろしき アエロフロート

All right reserved, Copyright(C) Murmansk Personal Info. 2005.
このページの文章、画像等一切の無断使用を禁止します。また、リンクを張る際は必ずご連絡下さい。