ムルマンスク便りVol.8


◇ちぇぶさん(第2期生)の留学体験記


 今回から、昨年晩秋から今年夏にかけてムルマンスク経済法科大学に語学留学していました、ペンネーム・ちぇぶさんの海外生活を綴った留学体験エッセイ「オーロラの見える町から」がはじまりました。

 結構ボリュームがあり、ユーモアタップリの連続体験記です。これが本当にあった話だから、おもしろい。情景を思い出しついニンマリしてしまいます。

 みなさんも彼女の体験記を読んで、ムルマンスクがどういう町なのか妄想想像してみてください。(本人の了承を得ています。)

ちぇぶさんの住んでいたクバルチーラから見た景色。湖が広がる。


第1話 『迷子』

 私がムルマンスクへ来て初めてやったことは、滑って転んでお尻に青あざつくったことと、迷子になったことだ。迷子になったのはムルへ来て2日目、11月3日の入学式の日だった。

 この日、入学式は午前中で終わったので、時間が空いた私はSさん(同じく第2期生)と町中を歩いてみることにした。なぜなら、私たちは学校まで車で送ってもらっていたので、通学路すらよく知らないのだ。これでは明日から学校へ行けない、まるで小学一年生だ。

 
「行き当たりばったりの成り行きまかせのいいかげん」

 この言葉は私のためにあるようなもので。地図も買わずに車窓から見ていた景色を頼りに歩いていた私らは、案の定、迷子になった。学校へ行く道も、家へ帰る道も分からない!目印になるムルマンスク映画館のところへは来れたのだが、そのあと右へ行くべきなのか左へ行くべきなのか、分からない。

 あたりはすでに薄暗くなってきた。う〜、北国の風が異邦人の身に凍みるゼ。それに、、道を聞こうにも、なんと私は自分の家の番地を知らない!(これは迂闊だった)クバルチーラはどれも同じようで見たことがあるような景色に思えてしまう。Sさんはここから自分の家までなら分かるという。Sさんの近所に住んでいることは確かなのだが、自分の家が分からない。このままSさんの家に行き、日本語教師たちに迎えに来てもらうという方法もあるが、それを日本語教師に伝えようにも、家にはまだ電話がないので不可能だ。

 というわけで、学校へ行くことにする。うれしいことにSさんも一緒に来てくれるという。二人でてくてく、Aさん(対日友好団体「北極星」代表のこと)の車で通った道を探して歩く。しっかし、いつになっても見覚えのある建物が出てこない。

 「また道、間違えたかな」
 「いや、Aさんすっごく飛ばしてたから、実は学校はかなり遠くにあるんじゃないのかな」

なんてことを言いながら歩いていたが、もう、学校は右にあるのか左のあるのか、それとも前か後ろかさっぱり分からなくなってしまった。(だいたい私は方向音痴である)では、仕方ない。拙いロシア語だが、通りすがりの人に聞いてみよう。

 《〜はどこですか》という文はロシア語でなんというのかは知っている。しかし、私はこの〜に当たる部分、つまり一番大事な学校名が分からないのだ。ところが、Sさんは分かるという。すばらしい、Sさん!

 だが、日本語名だ。

 
「ムルマンスク経済法科大学」

という。《ムルマンスク》と《大学》は分かる。しかし、《経済》と《法科》が分からない。そうだ!あとは辞書で調べればいいんじゃん。そして、辞書で調べた言葉をメモって、私らは通りすがりの人に尋ねた。

 なんて幸運なんでしょう。その通りすがりのお姉さんは知っているそうだ。そして、連れて行ってくれるとまで言ってくれた。うれし〜。やはりロシアの人は親切だ。(私は過去に何度もロシア人に助けられています) ほっ、これで安心、と思うのはまだ早かった。

 観覧車が見える、なんとなく見覚えのある通りをてくてくてくと歩いていたら、案内してくれていたお姉さんが急に立ち止まった。私のわずかな知っているロシア語を総動員して聞き取ると、どうやら

 
「私はこっちの道を行ってトロリーバスに乗らなきゃいけないから、ここまでね」

と言っているではないか。そ、そんな〜、ここで見捨てないで!ムルマンスクの11月。あたりはすでに真っ暗。おまけにこの道は人通りも少ない。たとえSさんと二人でいたって慣れない外国、心細いったらありゃしない。

 Sさんにここから学校まで分かるかどうか聞いたけど、よくわからないとの返事。でも、お姉さんは自分の家のほうへ行こうとしている。

 どうしよう、どうしよう。こういう時は心を落ち着けて。

 よし、深呼吸。

 
あ、ひらめいた!

 お姉さんは携帯電話を持っていた。そう、それを借りてAさんに連絡して迎えに来てもらえばいいんだ。(Aさんが仕事をしているってことは全く頭に浮かばなかった)とはいえ、私らがAさんに今の状況をロシア語で説明するには能力不足だ。逆にAさんは日本語は片言しかしゃべれない。あ、そっか。私らが今どこにいるかは、このお姉さんに話してもらえばいいんじゃん。

 というわけで、すっかり甘えてずうずうしくなっている私らはお姉さんに携帯電話を借り、Aさんの番号を押した。Aさんが出たとき、私が告げたのは

 「自分の名前」 と 「迷子」 と 「大学へ行きたい」

だ。あとの説明はお姉さんにまかせる。Aさんとお姉さんとでなんだかんだと話していたが、電話を切るとお姉さんは

 
「連れて行ってあげる」

と言ってくれた。うれしいよ〜ん。ロシアの人ってなんて親切なの。彼女が分かれると言った地点から学校までは、まだだいぶあった。帰宅を急ぐお姉さんの足を、ずいぶん遠回りさせてしまった。名前も告げずに去っていったお姉さん。どうもありがとう。おかげで私たちは無事に日本語教師たちとともにクバルチーラに帰れました。

 私がムルマンスクに来て迷子になったこの日は、私がムルマンスクの人の優しさに初めてふれた日でもある。

(第2話につづく)


【編集局より】
大学の正式名称は、ロシア語でひかえておこう(^^; でも、機転がめいっぱい利いた一日だったようで。ムルで生きていく上で、これが大事なんです♪




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